オーナーは、いつもの通り、約束の時間きっかりに現われた。
相変わらず、陽気だ。
大きな声で、「元気か、そうか、それは良かった」と手を握った。
部屋の中を、ざっと見ただけで、特段何もなかった。
これから内装をやり替える、という事もあるのだろうけど。
中には、あくどいオーナーもいて。
いろいろ難くせ付けて、保証金を返さないのがいる。
あそこが壊れてる、ここが割れてるといって、返さない。
じゃあ、その金で補修するかといえばしない。
なんと、即金で保証金を、全額返してくれた。
数えてくれと言われたが、「OK」と言って、しなかった。
怪訝そうな、でも嬉しそうな顔だった。
「できれば、また日本人に貸したい」と言われて、涙が出そうになった。
持って行った草加煎餅を渡したら、大袈裟に喜んでくれた。
いつも無邪気に、子供のように喜ぶ。
鍵を返して、7年ちょっと暮らした「元我が家」にお別れした。
ほんとにお世話になった、ありがとうございました。
オーナーには、これからも日本からのお土産を届けることにしようと、固く心に誓った。⇒ ポチッ
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